人間のイメージ想起システムの一考察

人間の想起を調べてるとトップダウン型の想起とボトムアップ型の想起が存在していると言われる。
しかしこれだけだと、あーそうか、で終わる。
ここからは一歩進んでボブが考えたイメージ想起システムを述べる。

ボブが考えるイメージの想起システムとは、以下のシステムで成り立っていると考えた。
イメージの概観+粘土+再認判断+アルファ(アルファは今回説明しないが、規則性、すでに記憶していること、感情、復習、整理、間違いなどが入るものだと思っていい)
という感じだ。
このシステムのモデル自体は実際は結構昔に考えたものだった。

一つ一つ説明しよう。
イメージの概観がトップダウン型にあたる。
これはイメージの形にアタリを付ける機能を有している。
つまりそれが何か、どういう形だったかをおぼろげながら特定して情報として出している。

次に粘土だが、イメージの概観によって得られた情報を使いながら、その詳細を構築していく。
これはボトムアップ型にあたる。
なぜ粘土と言っているか、というと概観の情報が少なすぎる場合、粘土をコネコネするように「あーでもない。こーっでもない」と形を試行錯誤するため。

再認判断は、粘土によってコネコネしてできた情報から「これ!見たことある!」という判断をするものだ。
このモデルからは、音よりイメージの方がなぜ想起しやすいのか?という一点を説明できる。
つまりコネコネと粘土のように形をこねくり回す。
すると、その過程で再認し、思い出すことができるからだ。

さて、ここからが本番と言ってもいい。
このボブのイメージ想起システムモデルが正しいならばという前提がここからの情報に全てつくことになる。

イメージの概観からすぐさま導ける方法は、もうみんな使っていると思うが直感的変換や型だ。
ここで説明が必要なのは型の方だと思うが、簡単に言えばカテゴリーのことだ。
カテゴリーから概観をイメージして、粘土がすぐさま目的の情報に行き着くようにできる。
このトップダウン型の方略は、ボブのイメージでは使いやすい印象を受ける。

それに対して粘土の方だが、こねくり回す範囲が狭いという場合があり得る。
こねくり回すのに何かしたら制約を設けることで、自由さはなくすが想起しやすいということができる。
また粘土の形に初期値を何種類か設けることで、こねくり回す際に想起しやすくできるのではないか、と考えている。
具体的には何かの「木」をイメージするときは、「切り株」の初期値の粘土からイメージするなどが考えられる。

そして今回の最大の発見を述べる。
それは粘土のこねくり回し方を直感的に決めるというものだ。
つまり手続の直感化だ。
どの程度効果があるかは不明だが、こねくり回す手続きが直感によって安定的に想起できれば、想起時にかなり役に立つのではないか、と考えている。

次のイメージがわかるということ

対文章式記憶術では高速でパーツを思い出すという現象がよく見受けられる。
これはボブ的には復習コンセプトの出来損ないなのだが、どうやらそれができるのは場所法の熟練者でないとできないようなのだ。
ここでボブは思った。
この熟練者よりは遅いであろうが、初心者でもそれなりのスピードで想起できる原因と場所法の熟練者がみせるイメージの想起スピードは実は同じ原因かもしれないのではないだろうかと仮説を立てた。

その仮説のもといったん考えてみた。

対文章式記憶術では高速でパーツを思い出せるのは、そもそも全体図というのが見えているからだ。
全体図とはこの場合はパーツをまとめて一つのイメージしたときに現れる、その一つのイメージだ。
これに則って次のイメージが何かを判断している。
つまり次来るであろうイメージが、すぐにわかるから高速で想起できる。

場所法熟練者も同じことをしているという前提なので、この考えによればやはり場所法を使っていると全体図となるイメージが頭の中に存在している、ということになる。
だから次に来るイメージがわかるのだ、としたいところだがたぶん前提がやはり少し違う気がする。
対文章式記憶術で高速でパーツを思い出せる場合と場所法熟練者が高速でイメージを思い出せる場合とではやはり少し違うのではないだろうか。

そう考えても対文章式記憶術で高速でパーツを想起する場合と場所法熟練者が高速でイメージを思い出せる場合とで共通点はあると考えている。
それは“次に来るイメージがわかる”ということだ。

対文章式記憶術の場合はもはやそうだが、場所法熟練者も場所というものが無意識でも高速で思い出せる状態を作り出している。
これは次に来る場所がわかるということではないだろうか。
そのため高速で思い出せるようになるのではないだろうか。

そう考えると対文章式記憶術でも同じようなことをすればまだまだ高速化できる気がする。
反対に対文章式記憶術の全体図というのを普通の記憶術に導入すれば、初心者でも高速にイメージを観て回ることができる気がする。

そしてこれは余談だが、場所法を熟練するのが速い人はモノと場所を概観しているのではないか、とも思った。
つまりモノと場所をより記号化した情報として捉え、それこそ概要のみを抽出した形で捉えているのではないか。
そうすることで、より速く簡単にパターン化して熟達しやすい形にしているのではないか、そう思った。
本当かウソかは結局やっていみないとわからないが。。。