対文章式記憶術の試行錯誤Ⅸ

対文章式記憶術において最もネックになるのは、パーツ一つ一つが消え去るリスクがあるということ。
ボブの作成時の狙いは、対文章式記憶術のパーツを組み合わせて作った一つのイメージのみが忘却というリスクを全負担するということだった。
でも実際はそんなことなくて、組み合わせたイメージを構成するパーツ一つ一つが全て忘却のリスクを背負っていた。
そのため組み合わせたイメージから一つのパーツが消え去るということがよく起きた。
組み合わせたイメージから一つでもパーツが消えるとどうなるか?というと、組み合わせたイメージが消える。
ようするに全部のパーツが消えてしまい、即座にイメージが思い出せなくなる。

そのための今回の試行錯誤となった。

どうも「見立てる」という行為はまだまだ奥が深いのだな、と今回の件で思った。
どう奥が深いか?というと、今までの「見立て」はパーツのシルエットにフィットするようなイメージを持ってくる、ということをしていた。
だが、今回の「見立て」は、パーツのシルエットを結構無視してイメージの“プロトタイプ”をイメージすることで、パーツ一つでがかいするような状況を避けれることがわかった。
ちなみにプロトタイプとはイメージの典型、つまり即座に連想した最初のイメージのこと。
これは例えば、手鏡という語を観たら、それから即座に連想できるイメージのこと。
今まではパーツを組み合わせてイメージを作り、それが手鏡に似ているってことになったら、プロトタイプのイメージを無視して、その組み合わせたイメージにより近い手鏡のイメージをイメージしていた。
そのため思い出す際にその組み合わせたイメージを思い出せなくなることがしばしばあった。

しかし、今回はプロトタイプのイメージのため、長期記憶からその手鏡を引き出すので、イメージとして安定的で消えることが少なくなった。
これは大きな発見で、「見立て」から「プロトタイプのイメージに見立てる」と名前を変えてもいいぐらいの発見だった。
パーツ一個一個のイメージの形を切り捨てているので、思い出せない状況も生まれるが、それでも覚えてすぐにイメージを忘れることは避けれている気がする。

問題はプロトタイプのイメージだといつも一緒になってしまい、同じようなイメージに「見立て」てしまう可能性が発生するということだろう。