昔々、影を使って一つのイメージが表す情報量を爆上げしようと考えていた。
でもこの方法だと結構難しかった。
なぜなら地面に映る影は、その影の元となるイメージと必然性を持たなかったからだ。
本来人間はイメージの中では影の存在を描かない生き物なので、シカトするはずのイメージを持たせても必然性がない限り、簡単に忘れてしまう。
けれどこの方法は“できれば”かなり有用ではある。
例えば影を使ってそのイメージを覚えた時間を入力しておく。
すると、その影からイメージを「時間」という形で思い出す手がかりになる。
では、どうやってその時間を表すのか?
それは時計と同じだ。
影の元となるイメージの一周を18時間(寝ている時間を除いている)や24時間と考えて区切る。
そのイメージの直感的に見出す正面を(例えば犬などのイメージであれば、顔のある方など)、0時として時計回りに18や24の区切りをする。
これで時間を表すことができるようになったが、次に考えるのは「分」だろう。
秒は無理だとして、分は表したい。
そこで活躍するのが影の長さである。
60分を3分割して、20分ごとに影の長さを「短」「中」「長」に振り分けて、影で表す。
これが影時計法の全貌なのだが、これは前述の通り上手く行かなかった。
ただし実は影を平面から立体化して少し盛り上がらせるとなぜか上手くいくようになる。
さて、ここまででボブはこの影時計法を採用しそうでしょ?
でも使わなかったんだなー。
なぜなら情報量をただただ多くするだけのものとなり、全体の量が覚えられなくなったからだ。
この意味は、例えばあなたの記憶容量の限界が100だとする。
今まで一つのイメージを10の記憶量で覚えていたので、最終的に100÷10で10個だけ覚えられた。
しかしこの影時計法を使うと普通のイメージより2倍思い出しやすかったが、一つのイメージに20の記憶量を必要とするので、最終的に100÷20で5個だけしか覚えられなくなった。
この結果をどう受け取るかはあなた次第だが、ボブはこれなら10個覚えて2回繰り返した方がいいと受け取ったため、影時計法を辞めるに至った。